中古のPCパーツ、どこを見れば分かるか|確かめられるものと、確かめられないもの

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結論:確かめられるパーツと、確かめられないパーツがあります

中古で買っていいかは、パーツの壊れやすさより先に、現物で確かめられるかと保証が引き継がれるかで決まります。どちらもメーカーの公表資料とWindowsの標準機能で確かめられます。

中古で買っていいかは、パーツの壊れやすさより先に、この2つで決まります。

決め手 できる/引き継げる できない/引き継げない
現物で、どれだけ使われたかを確かめられるか ストレージ(SSD・HDD)。稼働時間や書き込み量が読めます 電源・マザーボード。内部の劣化は外から見えません
保証が次の持ち主に引き継がれるか 会社によります。引き継げると明記している会社もあります 引き継げないと明記している会社のほうが多くなっています(電源で5社中4社)

買わなくてよい場合

  • 中古かどうかの前に、いま使っているもので足りることがあります。動作が重い・落ちるという症状は、通気孔のホコリやグリスの状態が原因のこともあります。負荷をかけたときだけ落ちるなら、確かめる順番から始めてください
  • ストレージなら、買う前でも買ったあとでも、使われ方を確かめられます(次の節)。確かめてから決められます
  • 外したパーツが余るなら、買い取りに出す道もあります

ストレージは、追加のソフトなしで確かめられます

「前の持ち主がどれだけ書き込んだかは分からない」と言われがちですが、不明ではありません。Windowsの標準機能で読めます。

どこまで見るか 使うコマンド 見えるもの
管理者権限なし Get-PhysicalDisk HealthStatus(Healthy / Warning / Unhealthy)と MediaType(SSD / HDD)
管理者として実行 Get-StorageReliabilityCounter 累計の稼働時間(PowerOnHours)、摩耗(Wear)、温度(Temperature)、エラー数(ReadErrorsTotal / WriteErrorsTotal)、製造年週(ManufactureDate)、電源の入り切りの回数と上限(StartStopCycleCount / StartStopCycleCountMax)

追加のソフトは要りません。BTOやメーカー製PCで別のソフトを入れられない場合でも、ここまでは見えます

管理者として実行したPowerShellが要ります。権限なしで実行すると「Access to a CIM resource was not available to the client」と出て取得できないことを、2026-08-29に確認しました。確かめたのは1台だけです(Windows 11/PHISON PS5012-E12S-1T のNVMe SSD)。機種によって結果が違う可能性は残ります。

Microsoftの公式ドキュメントは、このコマンドが返すものを「the device temperature, errors, wear, and length of time the device has been in use」と書いています。ただし管理者権限が必要かどうかの記載はありません。当サイトが実機で試したところ、権限なしでは取得できませんでした。

中古では ManufactureDate(製造年週)と StartStopCycleCount(電源の入り切りの回数)が効きます。出品の説明ではなく、現物が答えます。上限(StartStopCycleCountMax)も同時に返るので、どれだけ使われたかを割合で見られます。

HealthStatus が Healthy 以外だったときの話です。まず、そのドライブに大事なデータを置かないでください。中古で買った直後なら、返品や交換ができる期間のうちに販売者へ連絡してください。当サイトは、その先の修理や復旧の手順は案内しません(検証していないためです)。

S.M.A.R.T. は、メーカーによって公表の姿勢が違います

Kingston は S.M.A.R.T. の属性IDと名称を公式PDFで公表しています。ID 9 が「Power-On Hours」で、「Count of hours in power-on state」「the number of power-on hours since initial drive deployment」と説明されています

逆に Seagate は公表しない方針を明言しています——「As a matter of policy, Seagate does not publish attributes and thresholds.」「The individual attributes and threshold values are proprietary and we do not offer a utility that will read out the values.」同社は代わりに SeaTools の使用を勧めています

同じS.M.A.R.T.でも、メーカーによって公表の姿勢が違います。属性の意味を公式に確かめられる会社と、確かめられない会社があります

SSDの保証は、年数だけでは終わりません

SSDの保証は、年数だけでは終わりません。使った量でも終わります。中古では、そこが既に減っています。

保証期間は、(I) 製品の当初の購入日から始まり、本契約書のセクション B に定められている期間継続する限定保証期間、または (II) SSD の TBW (Total Bytes Written、総書き込みバイト量) しきい値 (SAMSUNG の Magician ソフトウェア で示される場合があります) を超える日で終わるまでの期間のいずれか短い方の期間とします

メーカー 保証の終わり方 公表されている値
Samsung 期間 または TBW のいずれか短いほう 990 PRO … 1TB は5年または600TB、2TB は5年または1,200TB、4TB は5年または2,400TB
Crucial(Micron) 期間 または TBW の先に来たほう MX500 … 250GB 100TB/500GB 180TB/1TB 360TB/2TB 700TB/4TB 1000TB。基準になるのは購入時点のデータシートの版という条項があり、これは他社に無い
Western Digital / SanDisk Warranty Period または Endurance (TBW) の先に来たほう WD Blue SN580 1TB … 600TBW/5年。WD_BLACK SN850X 2TB … 1,200TBW/5年
KIOXIA 期間 または 「Percentage Life Left」が0になるまでのいずれか短いほう TBWではなく残寿命の%で書いている。EXCERIA SATA は 240GB 60TB/480GB 120TB/960GB 240TB(保証は最大3年)

「どのメーカーもTBWで打ち切る」とは書けません。KIOXIAはTBWではなく「Percentage Life Left」で定めています。4社を見ただけなので、お使いのメーカーの保証書をご確認ください。

使った量を確かめる方法

メーカー 案内されている手段 注意
Samsung Samsung Magician 保証の条文そのものが確認手段を名指ししています(「SAMSUNG の Magician ソフトウェアで示される場合があります」)
SanDisk / WD SanDisk Dashboard 公式手順に「SATAは GB Written、NVMeは Data Units Written を見る」とあります
KIOXIA SSD Utility の「Health」ゲージ 表示されるのは書き込み量(TB)ではなく残寿命の%です
Crucial 公式の記載を確認できませんでした 保証条文は「as measured in the product’s SMART data」とSMART値を基準にすると書いていますが、Storage Executive の機能一覧に総書き込み量を表示すると明記された記載は見つかりませんでした

電源は、中古でいちばん条件が悪いパーツでした

電源は、中古でいちばん条件が悪いパーツでした。内部の劣化を外から確かめられず、しかも保証が引き継がれないと明記している会社のほうが多くなっています。

保証の引き継ぎについて記載を確認できた5社のうち、引き継げると書いていたのはSeasonicの1社だけで、Corsair、be quiet!、ANTEC、玄人志向の4社は引き継げないと書いています。

メーカー 中古への引き継ぎ 公表されている記載 注意
Seasonic 引き継げる Seasonic offers transferable warranty for new purchases made on or after September 1, 2012 as long as the product is in its original factory condition and retains all the original factory labels and stickers. ただし免責側に「The product was not purchased on eBay or similar marketplaces.」があります。フリマ経由は対象外です
Corsair 引き継げない This warranty is limited to the original purchaser and is non-transferable, except where prohibited by applicable local law. ―
be quiet! 引き継げない If the product has been sold multiple times, only base on the date that the first purchasing receipt of the product what issued by retailer or system integrator 複数回売られても、起算日は最初の購入日。中古で買っても、そこから年数が始まるわけではありません
ANTEC 引き継げない This warranty is enforceable only by the original consumer purchaser. Proof of purchase is required for warranty service. 免責の列挙にも「Purchase from third party sellers」があります
玄人志向 引き継げない オークションなどを含む中古販売品・個人売買品・未開封品の二次販売等は、本保証の対象外となります。 未開封の転売品まで明示的に外しています

保証年数は、型番だけでは決まりません。Corsair の RM Series は「produced before 2019 は5年」「produced 2019 and newer は10年」と、製造時期で分かれます。中古で箱も書類も無い場合、何年保証だったのかを確かめる手がかりが減ります。

耐用年数を年数で公表している会社は、見た5社の中にありませんでした。Seasonic が「105°Cのコンデンサを使っている」と部材の質を説明していますが、105°Cは耐熱の等級であって寿命の年数ではありません。「電源は◯年で寿命」という数字を、当サイトはメーカー資料から作れませんでした。

「電源が壊れると他のパーツを巻き込む」という説明をよく見かけますが、当サイトはメーカーの公表資料でこれを確認できませんでした。見た5社の保証ページに、そうした記載はありません。確かめられていないので、当サイトはこれを理由に使いません。

可動部の数値は、個体の寿命ではありません

可動部のあるパーツには数値がありますが、それは個体の寿命ではありません。

MTBF do not predict an individual drive’s reliability and do not constitute a warranty.

Western Digital がデータシートの脚注に書いている一文です。メーカー自身が「個々のドライブの信頼性を予測するものではない」と断っています。

部品 公表されている値
HDD(WD Red Pro 26TB) MTBF 2,500,000時間/年間ワークロード 550TB/保証5年
ファン(Noctua NF-A12x25 PWM) MTTF 150,000時間超/保証6年(Noctua は MTBF ではなく MTTF で公表しています。書き分けます)

WDの脚注は測定の前提も書いています——「workload of 220TB/year and drive temperature of 40C」で、それを超えると値は下がる(derating)とあります。前提を書かずに数値だけを引くと、実態より良く見えます。

間違えるとどうなるか

壊れても、自分で買い直すことになります。電源は保証が引き継がれない会社が多く、しかも内部の劣化を外から確かめられません。確かめられず、保証も無いという二重の状態になります。ストレージは確かめられますが、保証が使った量で既に終わっていることがあります。年数が残っていても、それだけでは判断できません。

この記事で扱えなかった部品

この記事が扱えたのは、メーカーが数値や条件を公表している部品だけです。次の部品は、当サイトが確かめる手段を見つけられなかったため扱っていません。

部品 扱えなかった理由
グラフィックボード 前の持ち主がどう使ったかを確かめる公式の手段を見つけられませんでした。稼働時間に相当する値を公表しているメーカーの資料も確認できていません
CPU・メモリ 可動部がなく、メーカーが使用量にあたる数値を公表していません。確かめる手段が無いという意味で、確かめられる部品とは別の扱いになります
マザーボード 同じく、外から確かめる手段を見つけられませんでした

「確かめられないから買うな」とは書きません。当サイトが言えるのは、確かめられる部品と、そうでない部品があるというところまでです。

よくある質問

中古のグラフィックボードはどう判断すればいいですか。

この記事では扱えていません。前の持ち主がどう使ったかを確かめる公式の手段を見つけられなかったためです。稼働時間にあたる値を公表しているメーカーの資料も確認できていません。確かめられないから買うな、とは書きません——当サイトが言えるのは、確かめる手段が無いというところまでです。

中古のSSDが、どれだけ使われたか調べられますか。

調べられます。管理者として実行したPowerShellで Get-StorageReliabilityCounter を使うと、累計の稼働時間・摩耗・製造年週が読めます。追加のソフトは要りません。返品できる期間のうちに見てください。

中古の電源は買っていいですか。

当サイトは決めません。書けるのは、内部の劣化を外から確かめられないことと、見た5社のうち4社が保証を引き継げないと書いていることまでです。そのうえで判断してください。

MTBF 250万時間なら、250万時間もつということですか。

違います。Western Digital はデータシートの脚注に「MTBF do not predict an individual drive’s reliability and do not constitute a warranty.」と書いています。個々のドライブの信頼性を予測するものではないと、メーカー自身が断っています。

保証年数は型番で分かりますか。

分からないことがあります。Corsair の RM Series は「produced before 2019 は5年」「produced 2019 and newer は10年」と製造時期で分かれます。中古で箱も書類も無い場合、手がかりが減ります。

Seagate のSSDやHDDでも同じように調べられますか。

同社は S.M.A.R.T. の属性としきい値を公表していません(「As a matter of policy, Seagate does not publish attributes and thresholds.」)。代わりに SeaTools の使用を案内しています。メーカーによって、確かめられる度合いが違います。

出典と確認方法

このページの互換情報は、以下の公開仕様に基づいています。同じ手順でご自身でも確認できます。

この記事の互換情報は、各メーカーが公開している仕様をもとにしています。誤りが残る可能性もあるため、購入前にメーカーの公式仕様もあわせてご確認ください。

判定の根拠は判定の方法にまとめています。